ひとつのモデルに全部を任せる必要はない。リサーチ、長文の統合、コード生成、文章の最終判断は、それぞれ得意なモデルが違う。このサイトの開発では、タスクごとに向いたモデルへ薄く委譲し、最終責任だけを一箇所に残す形にしている。本稿はその型を、実際の構成のまま記録する。
役割を分ける
委譲は CLI ラッパー 3 本(ask-grok / ask-gemini / ask-codex)に閉じている。呼び出し側は「このタスクは誰が得意か」だけを決め、出力は助言として受け取る。採用するかどうかは最終の担い手が判断する。
| タスク | 既定の委譲先 | 理由 |
|---|---|---|
| 最新の仕様・モデル更新・事例の調査 | grok | ライブ Web 検索が効く |
| 多ソースの統合・長文の要約 | gemini | 長いコンテキストを畳める |
| 図やコードの生成・複雑なデバッグ | codex | コード生成に強い |
| 執筆・最終判断・差分レビュー・git 操作 | Claude | 一貫した声と責任の所在 |
外部モデルはコミットも PR も作らない。差分を全数見て、検査を通し、確定させるのは一箇所に固定する。これで「速さ」と「一貫性」を両立させる。
一筆書きの流れ
記事でもコードでも、流れはおおむね同じだ。調べる、畳む、組む、確かめる、出す。各段でだけ得意なモデルに寄り道し、本線は崩さない。
- 01リサーチgrok
- 02統合gemini
- 03実装codex
- 04検証Claude
- 05公開Claude
この型の効きは、段ごとに切り替えコストが小さいことにある。CLI は薄いラッパーなので、向かない委譲先だと分かればその場で本線に戻せる。導入していない、あるいは認証していない委譲先があっても、本線の担い手がそのまま引き取れるよう、フォールバックを前提に組んである。完走を外部ツールの有無に賭けない。
守るべき一線
便利さの裏で崩しやすいのが、声と事実の扱いだ。外部モデルの出力をそのまま載せると、誇張や受け売りが混ざりやすい。そこで、採用前のチェックを機械化している。禁止表現や機微情報が混ざっていないかは、テストとして書いて継続的に検査する。人の目は、機械で測れないニュアンス — 論の通り方や図の収まり — に集中させる。
結果として、少人数でも「広く調べて、速く組んで、一貫して出す」が続けられる。中継網のように、得意なノードを結んで荷物を先へ運ぶ。レバレッジは規模ではなく、振り分けの設計から出てくる。
参考: Grok CLI、Gemini CLI、Codex。委譲ルールは、自社リポジトリ内の一枚のルールファイルに正本として置いている。

